2013/12/23

トルーマン・カポーティ / クリスマスの思い出



「遠い日、僕たちは幼く、弱く、そして悪意というものを知らなかった」

以前にも書いたかも知れないけれどカポーティを語る上で欠かせないキーワードに「イノセンス」という言葉がある。

誰にでもある幼少期の美しい記憶、外的世界から身を守るために作り上げた小さな世界、ある場合には仲間になる動物や老人。
多くの人々は成長するに従って、そういった記憶や思いや忘れていくものだが、カポーティは成長したあとでもその思いを忘れなかった、そういう意味ではカポーティは成長しなかった、とこの本を訳した村上春樹は書いている。大雑把に言うとそういうことをあとがきで書いている。

毎年クリスマスが来ると、主人公の7つの少年、そして遠戚のおばあちゃんと彼女の飼っている犬は大忙し。フルーツケーキを焼いて、ツリーを準備して、お互いのプレゼントを用意して。
悪意のない完璧な物語が美しい文章で語られる。また、挿絵にもなっている山本容子さんの素敵な銅版画がこの本の魅力の一つにもなっている。手に取るだけで、ああ、美しい本だな、と言える本はやっぱりある。

こういった物語が世界中で読まれていることは微笑ましいことだと思うし、文学というか芸術の持つ素晴らしい一面だと思う。
そしてクリスマスという多くの人が微笑むこの日には本当に不思議な力があるのだな、と毎年考えたりする。


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