バガボンドが再開しました。ずっと楽しみにしていました。
どんな展開になるのか予想も出来なかったのですが、期待通り面白かったです。わくわくしました。
伊織という少年と泥だらけになって畑を耕すシーンが出てきます。(とにかくこの34巻は土とか泥とかのシーンがやたら多い) 耕しては雨で崩れて耕して、それだけのシーンがしばらく続く。頭や目で読むというよりも身体で読んでいるような感覚になりました。
井上さんは「SWITCH」のインタビューで物語にはあまり興味がない、と言っています。スラムダンクでさえ、ただいい試合を描きたい、いいプレイを描きたい、みたいなことを仰ってました。宮本武蔵、という人の在り方を描きたい、物語というよりは詩に近いと思う、と。ほとんど即興に近い感覚で描いているんだろうな、と僕は思いました。
モードジャズみたいだ、と思ったのです。基本の筋(物語)はあるけれど、ちゃんとそこへ戻ってくるならどこへ行っても、自由にやってもいいよ、みたいな。「絵」にこだわっているのは一目瞭然だし、本人も公言しておられるから、ストーリーやセリフよりもまず「絵」が飛び込んでくる。セリフを目で追うよりも「絵」を一枚一枚めくっているような感覚になるのでどうしても音楽のように身体的なリズムが出てくる。だから僕はわくわくしているのだと思います。「絵」だけはもう自由に本当に楽しそうに描いている。その楽しさが伝わるから余計わくわくする。同時に「命」を扱う漫画なので更にずっしりと心に響く。巌流島まで描くのか、いつ終わるか分からないけれど、重石のように心に残る作品になりそうです。
僕はガチガチのジャンプ世代ですが、井上雄彦さんと荒木飛呂彦さんだけは小学校から今でもコミックを楽しみにしています。
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