2012/05/25
能勢仁 / 世界の本屋さん見て歩き
本屋さんをやろうと思っているので当然と言うべきか、本屋さん関連の本を読み漁っている。その中で一風変わった本に出会った。それがこちらの「世界の本屋さん見て歩き(出版メディアパル)」。題名通り著者が世界中の本屋さんを見て歩き、それらの本屋さんについて感想を述べていく。読んでみると分かるのが、これは本屋さんガイドというよりも旅行ガイドに近い。「世界の歩き方」とセットで持ち運びたくなる。
何が面白いかと言うと何よりも著者の文体が非常に読み易く(無駄がなく)、時に冗談とも思えるような語り口調で綴られているので他人の日記を読んでいるような気持ちになってくる。また、書店とは全く関係の無い冒頭かと思えばきちんとお店の内部に入り込んでくる内容に「ふむふむ」と言った感じで読み進められる。まずはきちんとその国の背景を説明する。
例えばこのように。
「ノルウェーの教育制度は小中学校は義務教育で無料である。教科書は有料で年間7~8万円かかるので親の負担になっている。高校は試験がなく入学できる。大学入試は高校の成績のよって入学が許可される。成績不振の学科がある場合には入学できないが、その救済として特別の授業を受けることが出来る」
「ギリシャはヨーロッパ圏であるが、一番アジア寄りの国という見方も出来る。面積は日本の約三分の一(北海道+九州)とそれほど広くはなく、山岳地帯が80%以上もある。総人口は1100万人(内アテネ市に360万人)で、東京都の人口より少ない。言語はギリシャ語であり、文字はギリシャ文字でその難解なことに辟易とした」
「オーストリアは第二次世界大戦の時には中立国として戦争には参加しなかった。そのために戦後は、国連関係の機関が多く置かれる都市となった~首都ウィーンは音楽の都である。日本では毎年、元旦に中継されるニューイヤーコンサートがウィーンの楽友協会から送られてくる映像を見ている人は多い。シュトラウスの華麗なワルツを聴いていると、また行ってみたいと思ってしまう」
「言語はタイ語、文字はインドのサンスクリット文字によく似たタイ文字である。街の中の看板がタイ文字で書かれているので、参ってしまった。まるでチンプンカンプン、だが最近になって英語表記が多くなったというので助かった。しかし英語はホテル以外はほとんど通用しないので、タクシーに乗るときは要注意である。時差は2時間なので時差ボケの心配はない。人口の約90%が仏教徒であるから、国民性は穏やかで優しい」
こんな感じで35カ国、202書店が案内されている。時差の話が出てくるのはタイだけだった。書店の名前はほとんど頭に入らなかった。それよりもその国の出版事情がよく理解出来た。出版社直営の書店が世界には多い。ヨーロッパに始まり、後半はアジアに入るのだが、後半の方が熱を帯びている気がする。国ごとのページ数も多くなっている。経済発展と同じように書店の未来を想像出来たのかも知れない。
ちなみに僕が一番驚いたのはこのセンテンスだった。
「世界中の書店で、書籍と雑誌を一緒に販売しているのは日本だけである。」
イタリアのページより。
ちなみに本屋ガイドみたいな本は数多あるが、書店の写真や店主のインタビューものが大半を占めているので日本の地方都市ごとの考察、書店の紹介をまとめた本はあまり無いので日本版も是非書いて頂きたい。
ブログもすっかり文体の影響を受けている。。
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