2013/08/16

丸谷才一 / 笹まくら


あなたも、戦争について考える日が来るかもしれない。
とりわけ、太平洋戦争や日中戦争や原爆について。
何をきっかけに考えるかは分からない。
「はだしのゲン」かも分からないし、「火垂るの墓」かも知れない。
「戦争と平和」かも知れません。
もしかしたら「永遠のゼロ」かも知れない。
何かの映画かも知れないし、1枚の写真がきっかけになるかも知れない。
あるいは全く別の出来事で考えることになるかも知れない。
でも、それは歴史の教科書ではないと思う。

ある、一つの物語があなたの心に楔を打ち込むと思う。
戦争を起こすのは国であり、宗教であり、主義であり、人であり、それらは全て物語で人がいる限りそこに物語があるから。

「笹まくら」は徴兵忌避者の物語です。5年間全く別の人物に成り代わり、戦争参加を避けてきた人の話です。戦時中、そして戦争が終わって20年後の生活が交錯しながら物語は進みます。主人公の内面描写は見事としか言い用のないもので、流れていく時間と景色に気付くと自分も組み込まれています。
ぼくはこの本をたまたま父親の本棚から借りて読んで以来、戦争について考える時間が増えたように思います。物語が頭に残ったからだと思います。

戦争に関する本はたくさんあります。
たくさん読んで考えてください。
僕もまだまだ読んでみようと思います。